ブラジル経済は、昨年第4四半期から不景気に陥り回復の兆しが見えない状況が続いています。 特に、自動車、機械、家電、繊維など製造業における不況感は極めて著しく、リストラの勢いが止まりません。
当然のように、失業者は急増しており、今年は100万人を超える失業者が出るかもしれないと悲観視されています。
自動車や家電業界では、堅調相場が続いたレアル通貨高を背景に、部品或は本体の一部を輸入して製品コストの上昇を抑え、購買力がアップしていた中間所得層の需要に向け好調な収益を上げてきました。
しかし、そうした階級の購買は既に一巡した感があり、不景気の台頭と共に国民の消費意欲は減退、そして売れ行きが低下するという悪循環へと陥っています。
加えて、今年は既に30%を超える急激なレアル安が進み、部品輸入が大幅なコストアップに繋がるほか、落ち込んだ内需を考慮してメーカーはどこも生産縮小に踏み切らざるを得ない状況へと転じました。
レアル安を背景に、輸出への活路が期待されるところですが、急激な為替変動への対応や、世界的に景気回復が遅れている状況を鑑みるに、タイミングの良い輸出への切り替えは業者によってまちまちであり、 内需に的を絞ってきた業界にとって輸出への切り替えは容易ではありません。
過去を振り返ると2008年のリーマンショックをきっかけに大量の資金が先進国から新興国へ流れ、ブラジルは不動産バブルに始まった偽りのような好景気を呈してきました。
しかし、アメリカ景気の回復と共に資金はまた逆流して元の木阿弥になりつつある感がします。 一年後にリオ・オリンピックを控えている国とはとても思えないほどの深刻な不況と言って良いでしょう。
以上 次回の"ブラジルからの報告"をお楽しみに!!