ブラジルでは、去る8月31日、連邦医師審議会の決議事項として尊厳死が認可、そして同日からの適用が決まり連邦官報に掲載されました。
尊厳死導入国としては、アメリカ、スペイン、オランダ、アルゼンチン、ポルトガルに次いで、世界で6カ国目となりました。
ブラジルで言う尊厳死の定義は、18才以上で精神的に正常な患者が、意識のある内に担当医師に口頭で意思を伝えて医師が、その旨患者のカルテに書き込むことにより、回復の見込みがなくなった患者の延命治療を差し止めて人間としての尊厳をもって死なせるというものです。
患者本人の署名や登記所での認証は必要なく、また第三者の証人を立てる必要もありません。
一方、患者の要請に応えて医師が薬物投与などを行う安楽死は、引き続き禁止されており、医師は患者に対して最大限の治療を施すことが大前提となっています。
しかしながら、患者自身からの口頭伝達という簡単な手段で尊厳死が認められたことで、生死の鍵は医師の判断に委ねられることとなります。
その上、病院側の治療ミスや入院コストの削減などという理由で、患者を死に追いやった場合にも、尊厳死という名目で処理されてしまう可能性が考えられ、今後論議を巻き起こしそうです。
以上 次回の"ブラジルからの報告"をお楽しみに!!