2016年のブラジルは、南米初の開催となるリオ・オリンピックとパラリンピックで世界中に感動を提供した一方、政治経済は前年からの不安定さが継続した1年でした。
8月に開催されたリオ五輪では、世界205ヵ国・地域から11,000人を超える選手が参加、9月開催のパラリンピックには約160ヵ国・地域から4,300人が参加しました。
いずれも史上最大規模の大会となりました。しかし、国の景気後退の影響は五輪にも及び、開催経費が不足して組織委員会は政府へ緊急支援を要請、競技場やインフラの工事遅れ、 選手村宿泊施設の不備、ジカ熱対策への不安が拡大、また開催中には観客席の空席も目立ちましたが特別大きな混乱もなく大会は無事に幕を閉じました。
一方、政治経済の面では、政府の農業融資プログラムの支出を公的金融機関が実施し、その返還を政府が遅らせた事が会計操作の背任行為に当たるとして、 5月半ばにジルマ氏の大統領停職処分が決定した後、8月末には同大統領の弾劾が成立し、テメル副大統領が正式に大統領へ就任しました。
ペトロブラス汚職の捜査が継続される中、テメル氏は国の財政再建を掲げて財政支出の改革に着手し始めて、12月には政府支出の増加を抑制する憲法修正案を可決させ、 これから年金制度と労働法の改正そして景気刺激策の議論も始まることになっています。
景気後退の影響で国内失業率は年初の9%から年末には12%にまで上昇し、税収の減退から州や地方自治体の財政が緊迫、公務員の給与遅配や分割払いなど各地で報じられるようになりました。
そのような状況の中、不思議なことに年初4レアル/ドルを超えていた為替相場は、12月末には3.25レアル/ドルへと年間と通してレアル高が続きました。 これは、国内の景気後退を背景にして輸入が大きく減少したため、一次産品などの輸出が伸びて貿易収支が大幅な黒字を呈したことによるものと判断されます。
2017年こそは、2年続いてきた不景気に改善の兆しが訪れるよう切に願います。
以上 次回の"ブラジルからの報告"をお楽しみに!!