前月号でアマゾンの森林不法伐採に関する汚職をレポートしたばかりですが、6月に入ってからブラジルの国会では、国内の農業や牧畜業の推進を優先させる目的で環境保護法の見直しが議論され始め、環境保護という地球規模の大きな流れに対して20年も逆行する修正案が成立しかねない状況となってきました。
同法案によれば、従来は国が管轄していた環境規制を州へ移行して簡略化すると共に、河川流域の「永久保護地区」や農牧畜地内の「原始林保護地区」を大幅に削減。
さらには過去の不法伐採での罰金を免除する他、新たな伐採も認可してゆくというものです。
1次産業界に大きな支持基盤を持つ現与党は、「環境保全という大義名分の所為で、1次産業が多大な圧迫を受けている」という認識を持っています。
本修正案は、グリーンピース等の環境保護団体からの反発とは裏腹に、与党議員の間で大きな賛同を得ています。
ブラジルは昨年の国連会議COP15において、2020年までに36−39%の温室効果ガスを削減するという自主目標を掲げました。
しかし、本法案はそうしたテーマに逆行するものであり、もしも修正案が可決されるようなことになれば、森林伐採がさらに進んで国内外で大きな波紋を巻き起こしそうです。
次回の"ブラジルからの報告"をお楽しみに!!